育成実装おめでとう!と、いうわけでね!
キングヘイローのシナリオで登場したときの通り、立派なプリンセスを目指す猪突猛進少女。
エリザベス女王杯降着の件のシナリオへの落とし込みが上手いと思った。モチーフとなった実際の競走馬はエリザベス女王杯での1位入線からの降着後、一度も1着をとることができなかった。このことはウマ娘では『プリンセスの品格』としてカワカミプリンセスに問われることになる。
エリザベス女王杯という舞台の勝者には、お転婆な暴れウマ娘のカワカミプリンセスやスイープトウショウよりも、常に品位ある振る舞いのできるダイワスカーレットやファインモーションのほうが相応しい、という観客たちの心ない声やアンチレターがトレーナーやウマ娘本人に届いてしまう、という展開で。
心ない声であることは間違いないけれど、勢いで喋ってしまうカワカミちゃんの言動にお転婆ではすまされないものがあったことも事実であり(勝者として敗者への敬意に欠けるものなど)、ダスカとファインは両者ともに単に『お嬢様らしいキャラだから』挙げられたわけではなく、モチーフとなった競走馬がそれぞれエリザベス女王杯で1着をとっている。そう使い、そう比較させるのかという面白さがあった。
カワカミプリンセスの明るく元気なキャラクターに対してわりと胃にくるキツいシーンの多いシナリオだったけれど、テーマそのものは『自分らしくいるために』『先輩後輩(もっと的確な表現があるはずだけど言葉にできない)』という前向きなもので、序盤から登場していた子どもたちの活かし方が良すぎて泣いた。
物語の中のお姫様やキングに憧れて追いかけたのが始まりだけど、その道中で躓いたり迷ったりしながら駆け抜けた道はもうカワカミちゃんだけの形で、その軌跡を見て憧れた誰かがすでに駆け出している…。
カワカミちゃんをお迎えした理由のうちにキングとの関係描写への期待はもちろんあったけど、『先を走る憧れの背中』キング、『隣で走る』スイープ、そして『背中に憧れてくれる』ウオッカとダスカという構図が最高に美しくて大大大満足です。キングとウオッカとダスカのシナリオは当然もう読んでるよね?と言わんばかりでもありましたが、まあさすがに読んでいるでしょう。読んで!!!
『相応しくなければ、目指すことすら認められないのか』に対して、一番わかりやすい回答を口にしたのがモブ記者だったこともすごくこのシナリオらしかったなあ…。好き。
キングのシナリオも初めて読んだとき「キツい…胃に来る…」とうめくような気持ちだったけど、同じシナリオライターさんだったり、方向性を擦り合わせたりとかあるのかな?
キングで三年目の有馬記念(目標外かつ距離適性外)に勝つと、隠しイベント的にウルトラハッピーエンドのようなエピソードが読めるのものすごく大好きなんですけど(あれがトゥルー扱いじゃないところまで含めて大大大好き)、カワカミちゃんもキングが出る高松宮記念(目標外かつ距離適性外)をどうするかで分岐が複数あることにクリア後気付いてワーーーーーッ!?となってしまった。初回は素直に出走しないパターンを見たので他も全部見たい!キングもカワカミちゃんもふたりの親子(?)関係もめちゃくちゃ好き。
だいぶ余談というかうわ言。あんスタにオタク脳をロボトミーされてから年上+年下の構図に本当に弱くなってしまったのですが、終盤の宝塚記念でキングがカワカミちゃんと戦う前につぶやいた「ふふっ、なんだ──子どもってすぐに大人になるのね」は、びっくりするくらいめちゃくちゃあんさんぶるスターズ(概念)だった。年上が年下を見守り送り出す瞳、脳と五臓六腑に染み渡る…。