ドラマティカのディレイ配信を見てぐちゃぐちゃになったので感想を書きます。
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前提
私はいまだに二次元作品の2.5次元化に強くハードルを感じている古典的なオタクです。それでも一切楽しめないわけではなく、これまで見た数少ない中だと『戦国BASARA』と『幕末Rock』は楽しかった。この二作は原作の時点でなんでもアリというか、『楽しんだもん勝ち』だと思わせてくれる類のパワーがあって、その土台があるからこそ私のような人間も楽しめたと思っています。
私にとってあんスタはそうではない(なんでもアリではない)ので、これまでの2.5次元舞台には触れてきませんでした。というか、あんスタについては日日日先生のテキストと公式イラスト以外への興味関心が薄いので、なんなら6年遊んでおいて声優ライブもキャラクターライブもまったくの未見です。楽曲もMVもあまりわからないので、わりと極端な関わり方をしていると思う。
ドラマティカに対してもこれまで通りでしたが、公演が始まってから『北斗と渉を好きな人にも見てほしい』的な感想をぽつぽつ見かけて、渉が一番好きで次に北斗というど真ん中の人間としてはまあ気になってしまった。でも2.5次元だし…いや絶対に2.5次元が楽しめないというわけでもないのだから、そこまでピンポイントに私向きである可能性があるなら、とりあえず見てみたほうがいいのでは?
どうしようどうしようと数日間迷い続けて、結局初日のディレイ配信最終日に滑り込みました。
率直に申し上げますと、めちゃくちゃよかった!!!!!見てよかった!!!!!!!
オススメツイートを見かけなかったら触れないままだったと思う。久々にSNSに感謝した。
見知らぬ方々、大変ありがとうございました。おかげさまで元気です!
感想
氷鷹北斗が演じる悟空と、日々樹渉が演じる三蔵。これらはそのままイコールではないと理解した上で、悟空と三蔵の関係に北斗と渉の関係がフラッシュバックする瞬間や、そこにある感情が北斗と渉のものであるかのように錯覚する瞬間がたしかに存在していて、そこがなにより好きだった。すごかった。
北斗と渉だけでなく、今回の出演キャラクターみんなのあんスタ本編でのストーリーを丁寧に拾い上げてくださった脚本、ありがたすぎて泣けてしまう。モチーフという表現が適切かはわからないけれど、このシーンは…とよぎる瞬間が何度もあって、それが前述の錯覚の濃度を強めている。
悲しみも寂しさも感じない道化を演じようとしても、どこまでも人間でしかない三蔵。ここまで直球のものが出てくると思わなかったのでヒエッとなってしまった。プロローグから前半にかけて悟空たちに上から目線で語っていたご高説を、終盤からエピローグにかけてそんなことできない!と自らひっくり返していく姿が、本当にたまらなかった…。渉がやりそうで決してやらないラインを踏み抜いていくのが三蔵だったように感じた。
普通の人間たちとは違うもののように振る舞う渉と、妖怪の弟子たちに囲まれたたったひとりの人間の三蔵。
自分のために誰かが犠牲になるくらいなら道化で構わないと言い切った渉と、自分のために愛する弟子たちの命も心も犠牲にして死と再生の輪廻に閉じ込める三蔵。
最後まで『日々樹渉』を演じきれるか少し不安そうにしていた渉と、「演じきれたらどれほど」と歌った三蔵。
北斗に「あなたには笑顔が似合う」と言った渉と、悟空に「笑顔がいちばんです」と言った三蔵。
同じ魂というには違いすぎるけれど、別人というには似すぎている。不思議な感覚だった。
三蔵と悟空かわいい
私は癇癪やくだらない理由で仲の良い相手の部屋を全焼させそうなフィクションキャラクターが大好きですが、近年各作品で一番好きになったキャラクターたちのなかで渉だけは絶対にやらない判定をしています。自分のために誰かが犠牲になるくらいなら悲しみも寂しさも感じない道化で構わない、というのが彼の在り方だと思うので。実際に演じきれるかは別として。
でも渉が演じる三蔵はめちゃくちゃ火つけるの上手い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(大声)
悟空はもちろん弟子全員の部屋どころか人生を燃やしていた。ラストステージ火山でしたし…?
ちなみにそのキャラの近くに部屋を全焼させられたら当然引くし怒るしひっぱたくけれど、結局なんだかんだ面倒を見てしまうかわいい子がいたらさらに最高なので、悟空がまさにそれで最高で最高で最高だった…。
悟空も他の弟子たちも三蔵に愛想尽かすどころかなんとかお師匠様を助けてあげたい…って一心だったの、そりゃ三蔵はあの子たちが愛おしくてたまらなくて手放せないでしょうよ。愛が愛をさらに育み、深まることで三蔵自身を縛る鎖と弟子たちを閉じ込める輪廻の輪がますます強固になっていく地獄の愛の連鎖だったな…(最高)
人様のドラマティカ感想が読みたくて検索から色々拝読していたのですが、『悟空と三蔵以外は兼役があるの、すべて三蔵のアテ書きだからでは』という説を見かけて一瞬でテンション上がってしまった。
見ている最中は二人に兼役がないのは主役と準主役でセリフも多いからだろうと思っていたけれど、全編見たあとにその可能性を提示されると、三蔵の仕業では…と思えてしまう。
あなたと一緒にいたいからですよ…。
大千秋楽配信まで見て
ドラマティカお疲れさまでした!
新しい形の素晴らしいあんさんぶるスターズの物語をありがとうございました。
今回の一番の大モチーフは『悲喜劇のロミオとジュリエット』だと思ったので大千秋楽がどうなるかドキドキしていましたが、ハッピーエンドにならなくて安心したような、最終回だけのハッピーエンドが見たかったような…。でも私はたぶん前者が7割で後者が3割です。
ここ数年様々な作品で、ことあるごとに後出しハッピーエンドについて考えたり苦しんだりしているので、悠久奇譚は私に優しいな…とほっとしてしまった。彼らの旅が今もどこかで繰り返されていると思うとなんとも切ないけれど、ただの観客の私は励まされたような、そんな気持ちです。
ほんとにほんとに観てよかったよ~!ありがとう…。
ハッピーエンドが見たいというより、どんな結末なら三蔵が救われるハッピーエンドなのか?という私にはわからないことの解答を知りたかったのかもしれない。天竺に辿り着いて一行が解散することになっても、悟空はなんならお師匠が天寿を全うするまでついてきてくれそうですけど…。渉はどう思う?
人間は妖怪と違い解脱に至らねば川を渡れず、西遊記の三蔵は死を経て解脱することで川を渡れたそうですが、解脱は輪廻の苦しみから解放された状態なので三蔵は解脱できていないのかも。愛別離苦の化身みたいな人ですし。一周目の終わりは川を渡れなかったことで、そこであんな亡霊のような存在になってしまったのかなあとぼんやり思いました。決して渡れぬ川のほとり…。